カンボジアの空港②シェムリアップの空港の歴史と今後

 カンボジアの空港第2弾、シェムリアップの空港について調べてみました。
シェムリアップ国際空港

名称

英語表記:Siem Reap International Airport
クメール表記:អាកាសយានដ្ឋានអន្តរជាតិសៀមរាប
日本語名:シェムリアップ国際空港
 愛称でアンコール国際空港と呼ばれることもあります。



歴史

 国交省の調査研究資料によると、1968年6月に開業とのことです。また、中国の援助で作られたと記載も見つけました。
 その後、2001年からはプノンペン空港と同様にフランスのVINCI社を中心とした企業に整備・管理の権限が与えられ、2006年には新ターミナルの開業、2016年には処理能力を年間500万人規模にする拡張工事が実施されています。

現状

設備

 現在の滑走路は2550m一本で、大型機の受け入れには頼りない規模です。また、滑走路の延長線上にはアンコールトムなど世界遺産の遺跡群があり、遺跡保護のため離着陸の方向が制限されています。2016年の利用者数は347万人と10年前から3倍近くの増加、利用者数はプノンペン空港よりも少し多く、カンボジア国内で最多になっています。
 また、シェムリアップ空港はあえてボーディングブリッジを作らず、到着時からカンボジアの空気に触れて楽しめる設計になっています。一長一短ではありますが、シェムリアップは観光地なので、こういうのもいいなあと思います。

 また、カンボジアの法令により、シェムリアップから入国した旅行者は少なくとも一泊はカンボジア国内に宿泊しないといけない(国外からの日帰り観光はできない)という決まりがあります。

路線

 現在の定期便は東南アジア+中国、韓国路線のみです。日本からはチャーターで直行便がよく飛んではいますが、定期便はまだありません。滑走路が短いため、定期便の機材はエアバス320やボーイング737といったナローボディ機のみとなっています。
 また、就航路線の広がりが弱いため、シェムリアップ単独だけでの観光、というよりは東南アジアの近隣国のついでに回る、というような形にならざるを得ないのかなあとも思います。

運営

 2040年までの契約でフランスのVINCI社を中心とした企業に空港の整備と運営を行う権利が与えられています。2016年には50億円を超える規模の空港拡張工事が完成しています。


今後

韓国企業による新空港建設計画

 2010年9月には、韓国企業による1000億円規模のシェムリアップ新空港建設を政府が承諾しています。場所はシェムリアップの東側、約60㎞のところに500haの計画でした。
 その後、韓国経済の悪化及び新空港会社の韓国人CEOの逮捕などもあり、この計画が進展することはありませんでした。プノンペンにある韓国企業の廃墟、「ゴールドタワー」や「Camco city」と同様、壮大な計画を立てながら金がなくなって放置するスタイルとなりました。


中国企業による建設決定

 そして昨年、中国企業による新空港の建設が決定しました。中国企業が建設及び維持管理を行う55年契約を結び、新空港は約900億円の建設プロジェクトになります。場所はシェムリアップの東側約50㎞のSout Nikom districtというところで、具体的な場所は明らかになっていませんが、ベンメリア遺跡に行く途中に通る地区です。
 

 新空港の規模は700haということで、日本でいうと新千歳空港(726ha)とほぼ同じ大きさです。現在は土地の開墾が進行中で、今年から建設が始まり2022年に完成予定とのことです。収容能力は現在の空港の倍の年間1000万人程度になるとのことです。

 現在の空港は2040年までVINCI社との契約が残っていますが、それを破棄してまで中国企業に作ってもらう、というのは現在のカンボジアの状況、中国の属国化を表しているような気がして、個人的にはあまり気分がいいものではありません。


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