カンボジアの空港①プノンペンの空港の歴史と今後

 先日、プノンペンに新空港が建設されるというニュースがありました。そこで、カンボジア国内の空港について少し調べてみましたので何回に分けて記事を書きます。まずはプノンペンの空港について。
プノンペン国際空港

名称

英語表記:Phnom Penh International Airport
クメール表記:អាកាសយានដ្ឋានអន្តរជាតិភ្នំពេញ
日本語名:プノンペン国際空港

 2003年2月までは空港のある地区名である「ポチェントン国際空港」という名前でした。

歴史

 1920年代にフランス空軍のために作られ、1956年に国際空港として開業しました。
 1970年代に入るとクメール共和国及びアメリカ軍の重要な供給地点となり、ゲリラ攻撃の対象になりました。その後1975年から1990年代にかけてはポルポト時代からの影響を引きずり、空港の機能は著しく低下します。
 1995年からはフランスとマレーシアの合弁会社が空港の運営権を取り、現在にわたり改良を行っています。
 2016年にはANAによる日本直行便ができました。

現状

設備

 カンボジア国内で唯一の3,000mの長さのある滑走路のある空港で、大型機、長距離便の発着が可能です。敷地面積は450ha。(日本でいうと中部国際空港セントレアが470haです)。2016年の利用客数は338万人で、10年前から2.5倍も急増しています。
 2017年末に完了したターミナル拡張工事により、処理能力が500万人になっています。

路線

 国際線は中国、東南アジアの主要都市行きがほとんどです。おそらくノンストップで一番遠くまで飛ぶのがANAの東京便、経由便ではエミレーツ航空のドバイ便、カタール航空のドーハ便が就航しています。

運営

 カンボジアの3空港(プノンペン、シェムリアップ、シアヌークビル)は1995年から2040年までの45年間の契約でフランスのVINCI社を中心とした企業に空港の整備と運営を行う権利が与えられています。近年のキャパシティ増大においても、プノンペンとシェムリアップの2空港に合わせて100億円を超える投資を行い、空港の拡張整備を進めてきました。



今後

新空港計画

 プノンペン空港のキャパが足りん!となってから、市街地に位置している現空港の拡張が難しいため、コンポンチュナンに作る話が出ていました。

コンポンチュナン空港計画

 2012年にフンセン首相が2025年以降にコンポンチュナン飛行場を新空港として整備することを発表します。民間航空用に768haの土地を確保し、プノンペンから約100㎞の距離を高速道路でつなぐという計画でした。
 コンポンチュナンの飛行場はコンクリート製の2400mという立派な滑走路を持っています。現在は空軍によって管理されていますが、滑走路が使われることはほぼありません。この飛行場はカンボジアの地理的な中心に位置して戦略的にも重要な場所ということで、ポルポト時代の強制労働によって建設が進められたものです。
 その後コンポンチュナン空港の話は表立った進展はなく、2016年には新空港の候補地がプノンペンから30-40kmとなっていることから、この時までには候補地から消えたものと思われます。

カンダール新空港計画

 そして数日前、ついに具体的な話が公表されました。中国の援助による、カンダール州内への新空港建設です。それも、現在の計画では成田空港(1111ha)の2倍以上の広さとなる敷地面積2600haという計画がされています。
 カンダール州内の場所は記事によって Takhmao cityという記事とKandal Steung districtという記事があるのですが、Kandal Steung districtをgooglemapを見てみると、この辺みたいです。
 国道2号線と3号線の中間ですが、あの辺になにか特徴的なものがあった記憶が無いので、なんもないところなんだろうなあと思います。このあたりからプノンペンまでの間で土地を買っておけば将来値上がりするのかなあ・・・。


 と思ったらすでに値上がりしているらしく、以前は平米あたり$1-$5だった土地が、$10-$60に値上がりしているという記事もあります。
 空港の建設費は15億ドル(1600億円)ということで、羽田空港に2500m滑走路を一本作るのに6000億円以上かかったことを考えると格安に思われます。まあ、タダみたいな土地に上物を作るだけでしょうが。

 滑走路が何本とか、プノンペン市内までの交通手段とか、具体的な話はまだ全く公表されていませんし、いつまでにつくるという時期も明確に公表されていません。現在のプノンペン空港の運営権は2040年までフランスの会社が持っているので、その前に閉鎖・移転となると問題になりそうですが、2025年には現在の空港のキャパが限界になるという話もあり、どう進んでいくのか今後が楽しみでもあります。

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